INTRODUCTION

仙楽国の太子・謝憐シエ・リェン

は天賦の才を持ち、人々を救うことを志して修行を積み、飛昇し武神となった。しかし彼は二度も天界から追放されてしまう。
そして800年。謝憐は三度目の飛昇を果たした。しかし“三界の笑い者”といわれる彼に祈りを捧げる者は今やどこにもいない。
謝憐は功徳を集めるべく、人々の住む下界に降りてこつこつとガラクタ集めをしながら、神官として出直すのであった。
ある日、謝憐はガラクタ集めの帰り道で、

三郎サンラン

”と名乗る不思議な少年と出会う――
下界に降りた謝憐が最初に任されたのは、北の地で起こる

『花嫁失踪事件』

の解決。
鬼花婿と呼ばれる謎の鬼により、多くの花嫁が連れ去られているらしい。
謝憐は自ら志願してやってきた

南風ナンフォン

扶揺フーヤオ

の2人の神官とともに、事件の解明に乗り出すことに。
二つ目の任務は、西域の半月関での

『隊商全滅事件』


妖術を使う道士に占拠され、旅立った商人達の半数が消えてしまったという。
謎の家出少年・三郎も加わり、一行は旧・半月国の地を目指す。
果たしてその事件の真相は――
謎はやがて謝憐の過去をも明らかにしていく。

天界、人間界、鬼界

という三つの領域を擁する世界を舞台に、壮大な物語が幕を開ける。
天官賜福、

百無禁忌恐れるものなし